それでも30歳のある日、R.Hさんは転職を決めた。
「商社マンとしてのジェネラリスト経験を、もっと違う形で活かしたい」──そう語る彼が、BIG4コンサルへの内定を掴むまでの5ヶ月を振り返ってもらった。
「商社マンの専門性って、結局何なんだろう」
化学品トレーディングの海外営業として、シンガポール駐在も含め8年間やってきました。海外サプライヤーから原料を調達して、国内顧客に届ける。グローバルな仕事で、スリリングな日々でした。
4年目には、年間で数百億円規模の契約を任されるようになりました。商社特有のスピード感の中で、若くして大きな金額を動かす経験ができた。
ただ、30歳を前にして、ある問いが頭から離れなくなりました。「私は何の専門家なのか?」。化学業界の知見はある。海外取引のノウハウもある。営業もできる。でも、どれも「そこそこ深い」だけで、突き抜けたものがない感覚があった。
決定打は、ある国際カンファレンスで聞いた、戦略コンサルタントのプレゼンでした。化学業界の構造変化、地政学リスク、サプライチェーン再編。私が「現場で感じていた」ことが、フレームワークと数字で構造化されて語られていた。
あの時、強烈に思ったんです。「私の業界知見を、ああいう形で社会に還元できないか」と。商社マンとして「使う側」だった戦略思考を、自分が「作る側」に回りたい。これがコンサル転職を真剣に考え始めたきっかけでした。
フレームワークと数字で構造化されて語られていた。
あれを自分が作る側になりたい」
「商社からコンサルへの道は、本当にあるのか」
ビズリーチに登録して、5社のエージェントとカジュアル面談を受けました。結果は厳しかった。「商社出身者がBIG4の戦略寄り部門に行くのは、難しいですね」と言われ続けて、選択肢が事業会社の経営企画ばかりに絞られていく感覚がありました。
商社マンって、社内ではエースでも、社外では「ただのジェネラリスト」と見られがちなんです。コンサルファームから本当に評価されるのか、半信半疑でした。
ビズリーチのスカウト経由で、佐藤さんから連絡をいただきました。佐藤さんはGOALSの事業責任者で、ご自身もメーカーRA出身だと書いてあった。
最初の面談で、「業界出身者は、コンサルが最も求めている人材像の1つ。なぜなら、現場の感覚と業界の構造を語れる人材が、純粋なコンサル出身者だけでは賄えないから」と教えていただきました。
これは、他の5社のエージェントの誰も言わなかった視点でした。佐藤さんが事業会社経験者だからこそ、業界出身者の評価のされ方をリアルに理解されているのだと感じました。
R.Hさんの職務経歴書を最初に拝見した時、「化学業界 × グローバル × 戦略」という、極めて希少な掛け算の人材だと感じました。
BIG4のManufacturing部門、特に化学・素材領域は、業界出身者を強く求めています。理由は明確で、純粋な戦略コンサル出身者だけでは、業界の暗黙知や地政学リスクの肌感覚が足りない。
R.Hさんご自身が、その価値をまだ言語化できていなかった。だから、過去8年間の取引案件を「商社マンとしての交渉エピソード」ではなく、「化学業界の構造的課題に対する、自分なりの仮説と打ち手」として整理し直す作業を、丁寧に行いました。
「業界知見を、フレームワークに乗せ換える1ヶ月」
業界経験のコンサル文脈への翻訳です。商社マンとして「化学業界のサプライチェーン全体像」を感覚で理解していましたが、それを面接官に1分で伝えるのは別の技術でした。
佐藤さんと一緒に、過去担当した3つの大型案件を「何が課題だったか・どう動いたか・なぜ成果が出たか」の3点で整理し直す作業を1ヶ月続けました。商社の現場感覚を、3C・PEST・5Forcesといったフレームワークに乗せ換える訓練を、模擬面接で何度も繰り返しました。
活きました。あるBIG4の最終面接で、「素材業界のクライアントから原料高騰への対応を相談されたら、どう答えますか?」と聞かれた時、私は「サプライヤー側のロジック・需要側のロジック・地政学リスクの3点で論点を出します」と即答できました。
これは商社マンならではの視点でした。面接官が前のめりに「具体的にどういう論点ですか?」と質問してきて、そこから30分間、業界談義のような議論になった。終わった後に「楽しい時間でしたね」と言ってもらえて、その場で次に進めることが決まりました。
最終的に応募したのは6社。書類選考の通過は5社、最終内定は3社。
模擬面接は計9回、活動開始から内定まで5ヶ月。年収は720万円→900万円(+180万円)で着地しました。
「3社の内定を前に、化学業界に深く根を張れる場所を選んだ」
BIG4のManufacturing部門、別BIG4のStrategy部門、外資系戦略コンサル。3社とも魅力的でした。
年収条件で言えば、外資戦略系が一番高かった。+250万円くらい。でも私は、「化学業界に深く根を張って、業界横断のグローバル案件を担当できる環境」を選びました。BIG4 Manufacturing部門です。
外資戦略系は、案件の業界が毎回変わる。一方、BIG4 Manufacturing部門は化学・素材を中心に専門性を深掘りできる。私は商社マンとして培った業界知見を、コンサル業界でさらに深めたかった。
しました。佐藤さんは「R.Hさんの志向なら、BIG4 Manufacturingが3年後・5年後に楽しいキャリアになっていると思います」と言ってくれました。年収の差はキャリアが進めば追いつく、自分の専門性が深まる場所を最優先すべき、と。
その言葉で決断できました。半年経った今、判断は完全に正解だったと思っています。
この組み合わせは、
市場で最も希少な人材像です」
「商社時代の経験が、毎日活きている」
想像以上に、商社時代の経験が毎日活きている感覚があります。
最初の半年で、化学メーカー、素材商社、自動車部品メーカーの3つの案件を経験しました。すべて、商社マンとして培った業界知見と、グローバルな視点が直接活きる案件です。クライアントの本部の意思決定プロセス、サプライチェーンの実態、海外サプライヤーとの関係構築──これらを「中の人」目線で語れる人材は、コンサルファーム内では希少です。
クライアントは、業界トップ企業の経営層が中心です。商社時代も大企業と取引していましたが、コンサルでは「経営者の意思決定そのものに関わる」という、商社では絶対に得られなかった経験ができています。
ハードさは想像通りでした。週60時間以上働く週もあります。ただ、議論の質が、商社時代の比ではない。BIG4のシニア人材と毎週のように壁打ちする中で、自分の論点の精度が週単位で上がっていく感覚があります。
商社時代の「上司の指示で動く」感覚から、コンサルの「自分の意見を持たないと存在しない」感覚への転換は、最初の3ヶ月で苦しみました。今は、その苦しさが成長そのものだったと振り返れます。
「業界に根ざした経験を、市場価値に変えたい人へ」
業界経験は、絶対に捨てるものではありません。むしろ、「あなたの業界 × コンサルの方法論」が、これからの市場で最も求められる組み合わせです。
私はBIG4で、化学業界のクライアントを中心に担当しています。商社時代の経験が、ほぼ毎日活きている感覚です。年収も上がりましたし、何より仕事の手触り感が変わりました。
業界出身者だからこそ持てる視点を、ぜひ武器にしてほしいです。
業界経験を 「市場価値の中核」 として活かしたい方に、強くおすすめします。
佐藤さんはご自身もメーカー領域出身で、業界出身者がコンサルでどう見られるかを採用側目線でも理解されている方。「商社の業界知見をコンサルの方法論で武装させる」というキャリア設計を一緒に考えてもらえたのは、他のエージェントでは絶対になかった体験です。
商社・メーカー・金融など 業界に深く根ざした経験 を持っている方ほど、GOALSの介在価値が大きいと感じます。
逆に、業界に対する強い思い入れがなく「とにかく年収を上げたい」という方には、別のエージェントの方が合うかもしれません。自分の業界を深く愛しながら、その経験を市場で武器にしたい方に、最も合うエージェントです。
本記事はR.Hさん(仮名)へのインタビューをもとに構成しています。
商社・メーカー業界出身者からITコンサルへの転職を検討している方の参考になれば幸いです。
同様のキャリアチェンジに関するご相談は、無料カウンセリングよりお気軽にお問い合わせください。
取材・文 / GOALS編集部